「勁が分かる、勁が使える!(指導監修:安田洋介)」の価値

僕が太極拳を始めてから、もう18年ぐらいが経ちます。
基本凝り性なので、健康目的で始めたにも関わらず、その技法、歴史、動作の意味を探求し始めました。

研究の中心はズバリ「太極拳とはなんぞや」であり、そのために太極拳を練り、文献を漁り、先達達に話を聴いてきました。
その結果、辿り着いた答えとは「太極拳とは、太極拳経をコンセプトとし、中国の陳家溝で生まれた「十三勢」という技法を利用してそのコンセプトを実現する武術である」という物でした。

さて、その「太極拳経」にはこんな事が書いてあります「力やスピードに頼らず、年寄りでも若者に負けない無敵の応敵技術が太極拳だ」と。まるで夢の様な話ですね(^-^;

そんな夢の様な技術をどうやって実現するかが十三勢であり、その内容は
「八門(掤、履、擠、按、採、挒、肘、靠)と五歩(進、退、顧、盼、定) 」
となっています。

実際これがなにを意味しているのか、どう身体で現すのか・・というのが太極拳修行で最大の山場なのです。
それぞれ一字毎に対応する動作というのがあるのですが、「だからなに?それをやったから無敵になれるの?」となるのが普通です。

中国でも、「八門」を単純に太極拳における各々の名前のついた動作以上の解釈をしてない人も多いのですが、陳家溝周辺の老師の話では、「掤が全てである」とか「すべての打撃は靠である」等、八門を動作そのものではなく、なんらかの力の呼称として使ってるのを見て、僕は「なるほど八門は動作そのものだけではなく、その動作を象徴とする力、即ち「勁力」を表してるものだろう」と推測しました。

そして、調べてみると、四正である掤、履、擠、按に関しては、文献や先生方の解説はあるのですが、
四隅である採、挒、肘、靠に関しては、曖昧模糊なものばかりであり、まるで意図的に隠されている様な状態でした。

実際に太極拳を練っている実感としては、四隅とは四正の組み合わせの結果らしい・・・というところまでは解っていたのですが、それを理論的にハッキリと説明できない状態が続いていました。

そんな折、陳家溝留学から帰ってきた安田老師が現れ、十三勢について秘匿されていた内容を公開され始めました。
その価値に気づく人はあまり多くないのですが、僕としては欲しかった答えが得られて大歓喜(^O^)!

安田先生に聴いた十三勢の内容をフィードバックして太極拳を練習し続けると一つの事が明確に成りました。
それは「伝統的な太極拳はすべてその十三勢の組み合わせであり、十三勢に外れた動作が無い」ということです。
帰納された十三勢という身体操作システムを演繹した物が太極拳の套路なのです。
だから、この十三勢の原理的定義でいくと、「十三勢で作られた套路は太極拳の套路であり、たとえ太極拳ぽくても十三勢から外れているものは太極拳の套路とは言えない。」になります。

実際、正式な伝統の太極拳を練ってる人と、規定の太極拳しか練ってない人で、数十年経って全く結果が違うのを目撃してきました。正しい太極拳を行ってる人は、十三勢について理論的には理解していない人でも、ちゃんと十三勢の技、太極拳の技が使えるように成り、そうでない人は太極拳の振り付けはうまくなりますが、実際に力を出すことが出来ません。
正しく十三勢で構成された套路を練れば十三勢が身体に染み付き、自然に十三勢の技が使えるようになるのです。
それが、太極拳の套路を練習する理由であり、太極拳で強くなる秘密なのです。

上記の事を理解した瞬間に、僕にはすごい変化が起こりました。
本当にその瞬間から技の質が変わり、大して推手等の対人練習をしていないのに、軽く技が掛かる様に成ったのです。

常識的には、「実際に技を掛け合い殴り合いをして痛い思いをしなければ、そういった技は身に付かない」だと思うのですが、その常識は僕の世界では崩れました。もちろん、非常識なのでみんな信じてくれませんが(笑)

というわけで、この安田先生のDVD「勁が分かる、勁が使える!」は
これまでの曖昧模糊とした、漠然としたイメージの世界の「勁力」の説明とは一線を画した一級の資料になっています。

こういったマイナージャンルの資料は、短期間で発売が中止に成ってしまうことが多いので、太極拳を志す人は買っておいて損は無いと思います。

「勁が分かる、勁が使える!(指導監修:安田洋介)」の価値」への1件のフィードバック

  1. 綿屋めりの先生へ 勘違い野郎まっさんです。
    googleでallintext:”挒” “太極拳” で検索してたら、このブログに辿り着きました。
    大変貴重な知識にアクセスでき、幸せです!
    今日から十三勢(八門、五歩)を意識して太極拳をするようにします。
    (って まだ明確な言葉では 掤、履、擠、按、採までしか習っていないのですが。)

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